Magic Music Box and Teary Fairy Tales

Magic Music Box and Teary Fairy Tales (2019.08.12)
Music & Lyrics by Café Rainbird

時のオルゴール

さあ、そこのねじを巻いて 綺麗な蓋を開けば
ほらごらん、紡ぎ出すよ 美しい日々の夢

宝石箱の中は一面鏡張りで
輝かしい貴方の過去 鮮やかに映し出す

ぎこちなく動く 時のオルゴール その旋律
古ぼけた時代の模倣 親しげに惑わせる

懐かしいその響きが頭から離れないで
ついさっき閉めた蓋を開いてはまた閉じる
意識しないようにと誘惑に逆らえば
あがくほど絡みついて 巻き付いた蔦のよう

記憶の宝石箱開けて オルゴール聴くたびに
想い出は輝きを増し 貴方を過去へ誘う

いつまでも後ろ向きで 前を見ることもない
現在も未来さえも 見ようとしない人が
惹かれては虜囚になる 幻惑の音の箱

はき違えた時間の錯誤 見つめる勇気もない
だけど それでいい、と甘くオルゴールは囁く

中には何もなくて からっぽな音を響かせる
ねじの外れた夢を奏で続けるオルゴール

追憶の中でシアワセになれるのに
さあ、そこのねじを巻いて 綺麗な蓋を開けば
ほらごらん、紡ぎ出すよ 心地よく甘美な毒を

Interlude: 第一の願い

*instrumental

Aschenputzel Rhapsodie

かすむ意識 ぼやけた日常
それでも心はいつでも刺激を求めてる
暗い明日 這い寄る絶望
それでも想いは希望に焦がれてる

夜の野原 伴奏もなく
四日月を相手に 優雅に舞う

引き攣るほど陳腐で愉快な
日常を抜け出して
いかしたリズムに静かな熱情乗せて
軽やかな旋回を決めるわ
心の底で求めているけれど

重い手足 疲れた肉体
それでも身体は焼け付く鼓動を求めてる
微笑みの裏に 隠した激情
それでも視線は観客探してる

気怠い日々の 陰気な雑事
生ぬるい惰性に苛々する

いつかきっと叶うと夢見る
ほんのささやかな望み
小洒落た舞曲に
優美なステップ踏んで
見る人を魅了させたいわ
二度目なんてもう無いのだろうけれど

鏡に映った瞳には ほのかな不安の翳り
このまま零時が来る前に誰か魔法をかけて

艶やかな魅惑の口紅に
琥珀の髪飾り
乾いた純白より 湿った黒衣をしなやかな肢体の動き映えるように
硝子の靴より 黒革の靴を夜通し踊り続けられるように

咲く一輪の花
灰にまみれた姿で
誰にも知られず舞い散る
(そんなの、ごめんだわ)

今宵浴びるスポットライトは
一晩限りの舞台
明けて醒める夢 それでもいいじゃない?
あたしはそれで一向に構わない
永遠でなくていい 一瞬だけでいいの
明かりに照らされたいだけなの

いばらのねむり

古代の時間に
凍り付いた前景
焼け付く炎に
融けて落ちた薔薇窓

割れた色硝子
永遠に空の聖歌隊席
蔓と棘の聖域
閉じた静寂の世界

しなやかにからみつく
枯れた茨の眠りが
薄暗い夢の中に
わたしを縛りつける

冷たい地下牢
暗く響く子守歌
かすれた墓碑銘
忘れられた鎮魂詩

深い闇のよどみで
静かに待っているの
だれもいない聖域
重い扉が開くのを

なげかけた問いかけは
だれにも届くことなく
物憂げに答えるのは
乾いた残響ばかり

(Hum…)

眠りの狭間で
こぼれ落ちる感覚
気怠いまどろみ
反転する現実感

動かぬ時の中で
無為に思い巡らし
他愛のない独り言を
夢心地でつぶやく
「ねえ、例えば……
王子様が来たら
願いごとを叶えてくれるかしら?
あたたかく手をとって
旧い檻から連れ出して
美しい外の世界を
見せてくれるかしら?」

夜が明けて朝が来て
強い光が射したら
灰になり くずれ落ちて
消えてしまうというのにね

Just white like snow

いとけのない顔してあざやかなくちびる
夜の闇によく似たつややかな黒髪

ひとたび顔をみせれば 誰からも好かれて
だけどそれは無慈悲な 血に飢えた運命

少し笑顔見せれば 心すぐにときめき
ふいに足を滑らす 暗い暗い奈落へと
口を開けて待っている 予定された破滅に

濁りのない雪のように
ただ白く無垢で眩しく
抗えずに惹かれていく
その柔らかいなめらかな素肌に

いつも心やさしく どこまでも無邪気で
転落へと誘う 憎らしい死神

頬を落ちる涙に 心すぐにとらわれ
いつの間にか落ち込む 深い深い暗渠へと
口を開けて待っている 救いのない終焉に

曇りのない鏡のように
私の眼をのぞきこんで
出口もなく溺れていく
その穢れない透き通る瞳に

甘い毒の林檎のように
ああ 仕掛けられた死の罠
逃げ場もなく心奪われて
もう引き返せない
破滅の前のつかのまでも
その生命の花 手折れば
私はやっと手に入れるだろう
そう 憎むほど いとおしいおまえを

フィラメント

*instrumental

Interlude: 第二の願い

*instrumental

Routine

いつもの朝がきて 日が昇れば
のぞく窓の外 霧の海で

ぼけた白の世界は 今日もまたやさしくて
おだやかな一日が 静かに動き出す

時計台の鐘 時を告げる
白い文字盤は 見えないけれど

毎日の繰り返しは いつまでも続きそう
そんなことはないのだとわかっているのだけど

親しい出来事が 満ちあふれて
変わらない日々に 安心する

なんでもないひとときが こんなにも大切だなんて
知らなかった昨日は今はもう彼方に

いつでも未来は不確実で
這い寄る不安に息が詰まる

平穏な日々にいつか おしまいがくるのなら
新しい明日なんて永遠に来なくていい

いつもの夜がきて 日が沈めば
ぼやけた街角に 灯りにじむ

鈍い灰色の世界に そっと語りかけるよ
この日常がずっと続きますようにと

(Hum…)

椅子のお嬢さん

歪んだ部屋の片隅で静かに帰りを待つ
あなたとの穏やかな時間を夢みる
だけどあなたの瞳に わたしの居場所はない
だってわたしはあなたにとって なんでもないモノだから 

古い瓦礫のものかげで あなたに拾われた
それがわたし つぎはぎの木製の椅子
冷たく暗いこの部屋で かすかにつぶやく
あなたが好き わたしはずっと あなたが好きなの と

想いは伝わらなくて 慕う言葉さえ届かなくて
返事のない寂しさだけ 今日も手元に残る

これが わたしの哀しい恋のうた
むなしさだけ積み重ねる
どうにもならない 無意味な毎日に
疲れ果てていく 身も心も

あなたはとても気分屋で わたしを振り回す
なにかに夢中なときは乱暴に腰掛け
むしゃくしゃしてるときには いきなり蹴飛ばす
わたし 床に倒れて ずっとそのまま動けない

痛みは気付かれなくて あげた悲鳴さえ届かなくて
傷が増えて骨が歪み 身体がひどく軋む

これが わたしの苦しい恋のうた
痛みだけが刻まれていく
どこにも行けない 無力な毎日に
すり減らしていく 身も心も

昼の仕事の疲れであなたはうとうとする
うたたねするあなたは 静かで優しい
眠ったあなたに寄り添って一緒にいられる
それが非力なわたしにとって つかのまのしあわせ

いつしかわたし壊れて まっすぐ立てなくなる
舌打ちして あなたはわたしを解体して
燃える暖炉にくべられて 真っ赤な炎になる
それがわたしの人生の たった一度だけの輝き

願いは叶わなくて だけど想いだけ祈るように
それでも好き あなたが好き 
これが わたしの哀しい恋のうた 
ぜんぶ灰と煙になる
綺麗に消えてなくなる 
自由になれる これでやっと 

錆びた青い鳥

月のない夜 想い出朽ちて
幾千の錆びた夢見る

砂時計が 永い時で満ちれば
何もかもが 錆びて動かない

古ぼけた風見鶏 嗄れた声で歌うよ
置いていかれた我が身嘆く

見つからないあの恋は どこへ行ったのだろう?

ブリキの鳥はとうに飛び立ち
鳥籠の中は空っぽ

だから私 青い鳥を探すの
暗い森をひとりさまよって

錆び付いた大時計 ねじが切れて停まるよ
別れも告げず 夢に沈む

貴方の顔ももう 忘れてしまったの

Interlude: 第三の願い

*instrumental

サンセット・プロムナード

早まる落日 今年も街に秋がやってきて
誰かに誰かの思い出見せてる

遥かに過ぎゆく時間を巡る 秋の散歩道
綺麗な夕日の世界に沈んで

色づく木の葉 ゆっくり舞い散る
やさしい秋風 静かにささやく

気付いたら立ち止まって
そっと耳を澄ます 秋の魔法に
夕暮の中からきこえてくる
甘い思い出の音色 サンセット・プロムナード

(la…)

街角歩けば 懐かしい恋の歌が流れてて

小路で拾った 宛先の消えたラブレター
昔の自分に思いを重ねて

思い出だけは 今でも変わらず
心のどこかで 呼びかけ続ける

思い出す恋の夢
わたし無邪気に ただ恋に恋してああ、時に記憶は切なく苦い
思い出ともに歩くは サンセット・プロムナード

遥かに広がる 記憶の風景

淡い黄昏にまどろむけれど
ほんのひととき経てば夢は醒めるわ
そう、やさしい日々の幻影たちを
求めはせずにそっと懐かしむだけ
サンセット・プロムナード

Dear My Old Future

古い写真の面影に 想い出が香る
あの頃の僕たちは 何を見てたんだろう
セピア色の微笑みに
あの時の僕が気付かなかった言葉思い出すよ

Dear old future,
僕らの見た希望にあふれた夢は
Dear my old friend,
いつのまにか変わってしまったけど

窓の外を眺めてはただ言葉探し
閉ざされた扉の向こう 何を待ってたんだろう
遠い昔予想図に描いた未来は
色あせてしまっても懐かしくて

Dear old future,
僕らの見た幸せな世界の先に
Dear my old friend,
どんな明日が待っていたんだろうか

音割れしたレコードの 擦切れた音は
長い時間の経過を 感じさせるけれど
古く錆びたプレーヤを 直して鳴らせば
また新しい音で響くのかな

Dear old future,
古い未来 僕たちの無垢な望み
Dear my old friend,
いつだって同じ夢を見てたよね

だけど、時計が時を刻むのをやめて
置き去りにされた未来は ただ忘れ去られて一緒に在りし日の君を 想い出に閉じ込めて
忘れてしまうのなんて たやすいことだけれど
Dear old future, 僕の明日が待ってるから
Dear my old friend, 悲しまないで
きっとまた逢いに来るから

セイレーン

暖かい微風が春を運び
凍てついた大地を静かにとかして
咲き誇る花たちは色鮮やか
灰色の風景を覆い隠して

あの綺麗な 彼方の幻影も
ほんの少し手を伸ばせば届きそうで
だけど 

冷たいこの手で触れるすべて 
枯れて崩れていく 壊れていく
それゆえ哀れな私には
眩しい世界に触れられない

重い枷に囚われたままなら
いっそ一瞬の想いに身を任せたい
だけど 

冷たい身体に触れるすべて
凍り砕けていく 壊れていく
それゆえ哀れな私には
やさしいあなたに近づけない

(ひとりきり 真っ暗な海の底で
 何も知らずに生きていれば
 ずっと静かに深い夢の中で
 やすらかでいられたのに)

陽が落ちた砂浜に 夜が訪れても
懐かしい静寂には戻れないまま
閉じ込めた感情がひどくざわついて
忘却の残り火が心焦がして

闇に叫ぶ絶え間ない波濤は
遠く 永遠のしずけさを待ち望んで
夜ごと 誰にも出逢わぬ果ての海で
ひとり口ずさむよ 滅びのうた
哀しき魂の輝きが
燃え尽き やすらぎ得られるまで

Conclusion?

*instrumental

Music Jewel Box

遠く離れた昔に 置き忘れた心を
とりだして甘く歌う 追憶のオルゴール
「眩しすぎるから」って 意識の底にしまった
想い出に共鳴して 響かせる銀色の音

心の中の宝石箱 優しく蓋開けて
懐かしい時間の魔法を 貴方にかけてあげる
華やかな情景を 音に乗せるオルゴール
ぽっかりと胸にあいた空白によく響く
毎日はいたずらに過ぎていくだけだけれど
いつだって遠い日々はきらきら煌めいている

私のねじを巻いて歌わせてくださるなら
貴方の望んだ過去へ連れていってさしあげる
さあ今宵のおともにはどんな曲が御所望で?
楽しい過去、美しい日々、それともせつない恋?
くすんだ現実だって綺麗な幻想だって
願うならどんな記憶も歌ってさしあげましょう

さびしい心の貴方にささやかな幸福を
戻り得ぬ日々の夢見て 今夜もおやすみなさい

渇きが満たされないなら、もう一曲いかがです?
いくらでも歌ってさしあげる動力が切れるまで

(好きなだけ甘い夢見せてあげる)
(いつまでも側にいてくれるように)

あら、もう私のねじを巻いてはくださらないの?
永遠の時間を一緒に紡いで欲しかったのに


Music & Lyrics by Café Rainbird