枯葉の園 / Fallen Leaf Garden

枯葉の園 / Fallen Leaf Garden (2018.08.10)
Music & Lyrics by Café Rainbird

Prologue: 《Once upon a time…》

*instrumental

Melancholic Garden

夢を見ていたんだ きっと
陽光差し込む窓辺で
淡い午後の木洩れ日のような
やさしい夢を

春 色とりどりの花咲く庭
白い小鳥が甘く愛の歌うたう

胸に秘めた言葉は 
結局君に届かぬまま
夢の中の思い出に 
静かに眠っている

涼しい夕の風が吹いて
午後の夢から醒めれば
熱い夏の日射しはもう
部屋の中に届かない

秋 枯葉散るセピア色の庭
誰もいない風景が 黄昏に沈む

ねじの切れた心は
時を刻むのをやめたまま
暗く深い夕闇を
今でもさまよっている

懐かしい日々の思い出に
囚われ 心錆び付いて

ほら 長い時が過ぎても
僕の季節は巡らぬまま
同じ秋の旋律を
何度でも繰り返す

君のいない世界は
時の歯車壊れたまま
遠い終末の訪れを
寂しく夢見ている

Interlude: 壊れかけた扉

*instrumental

いばらのねむり

古代の時間に
凍り付いた前景
焼け付く炎に
融けて落ちた薔薇窓

割れた色硝子
永遠に空の聖歌隊席
蔓と棘の聖域
閉じた静寂の世界

しなやかにからみつく
枯れた茨の眠りが
薄暗い夢の中に
わたしを縛りつける

冷たい地下牢
暗く響く子守歌
かすれた墓碑銘
忘れられた鎮魂詩

深い闇のよどみで
静かに待っているの
だれもいない聖域
重い扉が開くのを

なげかけた問いかけは
だれにも届くことなく
物憂げに答えるのは
乾いた残響ばかり

眠りの狭間で
こぼれ落ちる感覚
気怠いまどろみ
反転する現実感

動かぬ時の中で
無為に思い巡らし
他愛のない独り言を
夢心地でつぶやく――

「ねえ、例えば……
王子様が来たら
願いごとを叶えてくれるかしら?
あたたかく手をとって
旧い檻から連れ出して
美しい外の世界を
見せてくれるかしら?」

――夜が明けて朝が来て
強い光が射したら
灰になり くずれ落ちて
消えてしまうというのにね

新月夜行

凍り付く月光が心をざわめかすから
物憂げな月の夜は淡くうつろう
通り過ぎる駅はどこも無人で
零時過ぎて夜はさらに更けていく
つかの間のしずけさでうつろな意識みたせば
おぼろげな感覚が夢の終わり告げる

容赦ない日光が身体を焼き尽くすから
人知れず物陰に宵闇を待つ
遠ざかる街並みは息を潜めて
景色はすぐ闇に融けて消えていく
静寂をかきみだす緋色の赤は憂鬱
耐え難い欲求を痛みに変えるだけ

鳴り響く汽笛はどこか孤独で
月に吠える獣の声思わせる
安息の場所探し夜をさまよう異邦人
真夜中の音楽を気だるくくちずさむ

新月の暗黒を走り続ける夜汽車は
どこまでもどこまでも私を連れて行く

静かな新月夜行――終わらぬ旅続ける

Interlude: モノクロの花畑

*instrumental

夢のはざまで

果てしない旅の終わりいまだ見えずに
暗がりの中を あてどもなく ひとりうつろう

繰り返す 何度となく 眠りとめざめ
入れ替わる 夢と現実 溶けて混ざって

通り過ぎていく景色も 路傍の可憐な花すらも
うつろな瞳に映るすべて やがて消えゆく幻影

心朽ちる 永い時の迷路で
救いのない別ればかり繰り返して
ああ さまよう 夢と夢のはざまで
錆び付いた時間の果て 憩いのない場所で

花びらに ほんの少し指が触れれば
一瞬で黒く枯れて 散って崩れる
すれ違う命 まるで硝子のように
粉々の砂になって 壊れて消えて

身を焼く切な願いも せつない胸の傷さえも 
うつろな心の痛みすべて やがて消え去る陽炎

こぼれ落ちる 永い時のきざはし
望みのない期待ばかり繰り返して
ああ うつろう 夢と夢のはざまで
かなわない願いの果て 記憶のない場所で

崩れ落ちる 殻のような意識が
終わりもなく 夢と目覚め 繰り返して
ほら さまよう 夢と夢のはざまで
朽ち果てたこの世の果て 誰もいない場所で

やさしいミラージュ

壊れた瓦礫の街で月の下をふたり歩く
あなたは無口で いつもやさしい瞳で微笑むだけで

凍える白い夜は あなた わたしの手を取って
かじかんだ手が そのぬくもりでほんのり暖かくなる

この手をつないで 離さないでいて
静かに眠れるように
心を満たして やさしい温度で ずっとそばで
この痛みが消えてやすらげるまで

崩れた遺跡の地下は かびと土のにおいがして
古代の空気の底で ずっと息が詰まりそうで

寂しい蒼い夜は わたし あなたと寄り添って
どうしようもない心細さをきっとやわらげたくて

すぐ近くにいて 離れないでいて
こころが休まるように
ひとりにしないで 一緒に眠って
ずっとそばで この孤独が消えてやすらげるまで

――本当は知ってる あなたはまぼろし
いとしい わたしの幻想
最期のときまで わたしをだまして
ずっとそばで この身体が消えて灰になるまで

夜を恋う

こころこぼれる ここは哀しみばかり
乾いた夢に取り残され
無限の時の中で涙も枯れて
待ち望む つらい今日の終わりに
いとおしい夜の闇のとばりが
真昼の暗い夢に終わり告げるまで

灰色のバスが過ぎゆく
疲れた人々乗せながら
うつろな乗客のまなざし
何を見ているの

むなしい嘘と知りながら
鴉は謳う 高らかに
来たるべき明日 
約束の国 その歌を

朽ち果てた白黒の映写機は
同じ情景を何度でも繰り返す

こころ滅びる ここは苦しみばかり
干涸らびていく ただひとりで
誰かの遺した夢にうずもれ
だけど待っている 遠い今日の終わりに
あたたかい夜の蒼い静寂が
根深い胸の傷を癒やしに来るまで

壊れた夢の中 狂った時の中
待っている いつか永遠の夜が迎えに来るまで――

こころとろける 甘い夜の訪れ
艶やかな闇 平和の時間
終末のやさしい腕に抱かれ
こころやすらぐ 闇に包まれながら
しなやかな夜に身を任せて
おしまいの瞬間が訪れるまで

こときれるまで 強く抱きしめていて
しとやかなキスで口をふさいで
永遠の眠りから目覚めぬように
行かないで ずっとずっとそばにいて
寂しい昼の夢に
私をひとりきりでおいていかないで

Interlude: ひび割れた鏡

*instrumental

Autumn Illusion

赤く暮れなずむ空 影が長く伸びて
古い煉瓦の小道を風が通り抜けていく
影は暗く 陽が落ちれば ほら 
闇夜にこころ呑み込まれそうで

更けゆく秋の景色に 囲まれながら
散り急ぐ木の葉たち たそがれて
ねじれた時の中で僕たちは セピア色の夢にとらわれ
眺める 今日もまた秋の世界を

広く晴れ渡る空 蒼く空気澄んで
風に吹き散る落ち葉が ひらりひらり踊って
空は深く 覗きこめば ほら 
虚空にこころ吸い込まれそうで

今でも君の時計は停まったままで
巡りゆく季節さえ 気づかずに
閉ざされた夢の中で僕たちは 行き場もなく取り残されて
さまよう 今日もまた秋の世界を

暮れていく世界は
静寂に満ちて
映し出す 過去の記憶をずっと

いつしか時は流れて季節は巡る
この場所に僕たちを忘れたまま

壊れた秋の虚像に 陽はまた沈む
心象が何度でも舞い散って
懐かしい君も僕の思い出も
夕暮れ色の海に沈む
ものみなやすらかに 秋に埋もれる

幻燈

とりとめなく過ぎていく日々は
遙か遠い過去の残響
記憶のないぼやけた風景は
機械の夢を映す銀幕

さあ、夕日が沈み
蒼い幻燈が映し出す
むかし誰かの見た希望を
ただ寂しく繰り返して

形もなくゆらめく炎のように
浮かび上がる世界は
かつて在ったまぼろし

誰もいない棄てられた街は
電気仕掛けの夢を見ている

さあ、朝日が昇り
強い日光が照らし出す
かつて誰かの望んだ未来の
哀しい残骸を

あてどもなく漂う煙のように
薄れていく世界は
どこにもないまぼろし

夢の中で時は過ぎて
日が昇り そして目覚める
夢が醒めて時が過ぎて
そしてまた 過ぎた日の夢見る

さあ、夜が満ちれば
淡い幻燈が紡ぎ出す
古い記録の中の夢
もう見る人もないのに

終わりもなくうつろう時間の中で
機械たちが夢見る
終わりの後の世界

過ぎゆく終わりの夢 夢の終わり 
夢と目覚め繰り返す
永遠のロンド――空っぽな夢を見続ける
儚い過去のまぼろし

儚い過去のまぼろし

秘密の庭の片隅で

夜空は明るみ
蒼く光さしこむ
つぼみはほころび
澄んだ風が通りぬける

時計はちくたく
刻む音色 寝息のようで
景色はのどかに
翡翠色の夢をみている

おだやかな眠りを
いばらの悪夢がときには邪魔をしても
大丈夫 ここは静か
めをつぶって やすらかにおやすみ

やさしい木洩れ日
春の風に揺らめく
水辺は花咲き
いぶき満ちて色鮮やか
日射しはうららか
光満ちる生命の調べ
緑のゆりかご
やすむ影の眠りは深く

傷ついた心が
ほのおの記憶にときにはうなされても
大丈夫 ここは静か
めをつぶって  おだやかにおねむり

草木はささやく
心地のよいしじまに
ものみなまどろみ
花の蜜は甘くかおる

鏡の庭園
水に映る 影のたわむれ
想いを祈りに
ここは君のやすらぎの庭

永久の時間に
孤独の幻想に心が囚われても
大丈夫 ここにいるよ
悲しまないで しあわせな夢を

朽ち果てた世界に
終末の時がいつかは訪れても
大丈夫 ここにいるよ
ここにずっと 君のいる場所に
だから今日も 夢の中でおやすみ

Epilogue:《…ever after.》

*instrumental


Music & Lyrics by Café Rainbird